ガス種別用途事例

主な産業ガスには、酸素、窒素、アルゴンなどがあり、これらのガスは、
空気を分離して得られる為エアセパレートガスと呼ばれております。
まず、空気を圧縮して(圧縮して昇圧することにより液化しやすくなる)、
約10度まで冷却し、低温で固化する水分や二酸化炭素を吸着除去します。
その後、熱交換機を使って空気をマイナス200度近くまで冷却(液化)し、
精留塔で各ガスの沸点の差を利用して分離精製します。
 沸点:酸素-183度、アルゴン-186度、窒素-196度
低沸点成分の窒素は精留塔の上部から、高沸点成分の窒素は下部から採取します。
化学反応のような化学反応や燃焼等は一切なく、ガスの圧縮及び膨張といった物理操作のみで製造して、
非常に安全な製造方法と言えますが、空気を圧縮する際、大型の圧縮機を使用しており、
多くの電力を消費して製造されております。
この他、製鉄所などで副生されるガスを回収して、生産する炭酸ガスや、
天然ガスから取り出すヘリウムガスなどがあります。

主な産業ガスの用途について

酸素ガス

①工業用途
・鉄鋼業
 酸素は、燃焼を助ける力と強い酸化力が特徴です。鉄鋼業では高温での酸化反応
 を利用して鉄鉱石から鉄を取り出す際に使用。酸素吹きつけで温度が上昇し、
 製鉄工程を効率化します。
・溶接・溶断
 酸素、アセチレンガス溶接や切断作業において、酸素ガスが高温を生み出す為に使われます。
・ガス・セラミック製造
 高温での融解が必要な製造工程で酸素燃焼が用いられ、燃焼効率が向上します。

②医療用途
 酸素ボンベや酸素マスクで供給され、呼吸困難や低酸素血症の治療に使われます。
 また、麻酔や集中治療時に酸素ガスを供給し、患者の呼吸補助や体内酸素レベル
 を保つために使用されます。

③宇宙開発や航空用途
 酸素は宇宙飛行士の呼吸用として不可欠です。
 またロケットの燃料に液体酸素が使用される事もあります。
 航空機内の気圧が低くなる高高度で乗客や乗員が呼吸しやすいように酸素が供給されております。

④水産業
 魚や貝などの養殖場で酸素ガスを供給し、成長を促進されるために使用されます。
 酸素の使用により水質も向上します。

窒素ガス

①食品業界
・保存/包装
 食品包装内に充填することで、酸化を防ぎ、鮮度を保ちます。酸化が抑えられる
 ことで、食品の色や風味が長持ちしやすくなります。
・冷凍
 急速冷凍する際、液体窒素(低温の液体)を使うことで、食品の組織を痛めにくく、
 品質を保ちながら急速冷凍が可能です。

②医療業界
・冷凍手術
 液体窒素は皮膚科でのイボやほくろの除去などに利用され、低温で幹部の組織を
 凍結して除去します。
・試験保存
 組織や細胞を長期保存する際、液体窒素を使って極低温状態で保管することで、
 変質を防ぎます。特にバイオバンクなどで細胞や組織サンプルを保存するために
 利用されます。

③産業分野
・金属加工
 窒素ガスを使って酸化を抑え、溶接や切断時に高品質な仕上がりが得られます。
・化学プロセス
 窒素ガスは化学反応を抑制するために用いられ、酸化反応を防ぐ環境(不活性
 ガス雰囲気)を提供するために使用します。特に、爆発や酸化のリスクがある
 化学物質の取り扱いに役立ちます。

④電子機器製造
・半導体製造
 窒素ガスは不活性な環境が必要な半導体製造において広く使用されます。
 酸化や湿気による品質低下を防ぎ、精密な製品の製造に役立っております。

⑤タイヤの充填
 窒素は酸素に比べて分子が大きいため、タイヤ内での圧力変化が少なく、
 燃費やタイヤ寿命の延長につながります。そのため、レースカーや航空機のタイヤ
 また、高性能車のタイヤに使われることが増えております。

⑥航空宇宙産業
 航空機やロケットの燃料タンク内部に窒素を充填して酸化を防ぎます。
 これにより、火災や爆発のリスクを低減し、安全性を確保します。

アルゴンガス

①溶接
 アルゴンガスは、アーク溶接やTIG溶接に使用されます。溶接中の金属が酸化や
 窒化を起こすのを防ぐために、アルゴンを保護ガスとして利用することで、
 接合部分の品質が向上します。特にステンレスやアルミニウムなど酸化しやすい
 金属の溶接に適しています。

②半導体製造
 アルゴンは、半導体産業でも重要な役割を果たします。シリコンウェハーの成形
 や表面処理工程で、酸化を防ぐためにアルゴンが使用されます。
 特に、製造プロセス中に不純物の混入を防ぐたまの保護ガスとして利用され高い純度が求められます。

③照明
 アルゴンは、蛍光灯やネオン管、さらには電球の内部ガスとして使用されます。
 特に、電球内でフィラメントが酸化しないようにするため、酸素が含まれない
 アルゴンガスが使用されます。これによりランプの寿命が延びます。

④ワインや食品の保存
 酸化による品質劣化を防ぐため、ワインや食品の保存にアルゴンガスを使うこと
 があります。空気よりも比重が重いアルゴンを使用する事でワインの瓶から酸素を
 効率的に流す事が可能で風味や品質を長期間保つ効果があります。

⑤化学研究
 アルゴンは、さまざまな化学実験や分析においても保護ガスやプラズマ減として
 利用されます。安定性が高いため、実験の影響を受けにくく、正確なデーターが得られます。

炭酸ガス

①食品・飲料業界
・炭酸飲料:コーラやサイダーなどの炭酸飲料の製造に使用され、炭酸ガスを
      溶かし込むことで独特のシュワシュワ感を生み出します。
・食品保存:真空パックや食品保存包装で、酸化や細菌の繁殖を抑える為に使用されます。
・冷凍、冷蔵:ドライアイスとして、輸送中の食品を冷却、保存する為に用いられます。

②農業
 植物の生長促進:温室栽培などでCO2を供給する事で、光合成を促進し、植物の成長が促されます。

③医療分野
・内視鏡手術などの際に体腔を膨らませるためにCO2を使用します。
 CO2は吸収されやすい為、手術後も人体に影響が少ないとされています。

④工業分野
・溶接:炭酸ガスはアーク溶接のシールドガスとして用いられ、溶接部を酸化から
    保護する役割を果たしています。
・消火器:炭酸ガス消火器は酸素を遮断し、火を消すために使用されます。
・金属加工:金属の表面仕上げや、汚れの除去にドライアイスを噴射してクリーニングする技術もあります。

⑤娯楽や特殊効果
・舞台演出:ドライアイスを使用して煙や霧のような効果を作り演出を行います。

⑥アルカリ廃水の中和
・トンネル工事やダム建設などコンクリートを扱う現場ではアルカリ廃水が発生します。
 塩酸や希硫酸などを使っても中和できますが、炭酸ガスは安全性と環境面から
 安定に処理することができます。

⑦炭酸泉
 温泉や入浴剤に利用され、血行促進や美肌効果が期待されております。

水素

①燃料電池車
 水素は燃料電池の動力源として利用され、酸素と化学反応を起こして
 電気を生成します。この過程で水しか排出されないため、非常に環境に優しいのが特徴です。

②水素発電
 火力発電に代わるクリーンエネルギーとして注目されています。
 CO2を排出しないことから、カーボンニュートラルに貢献すると期待されています。

③石油精製  
 水素は石油精製において、硫黄分を除去するプロセスに使用され、
 より環境負荷の少ないガソリンやディーゼルの生成に貢献しています。

④航空、宇宙産業
 水素はロケットエンジンの燃料としても利用され、液体水素は酸素と反応して強力な推進力を生み出します。

ヘリウム

①風船
 ヘリウムガスは酸素や窒素よりも軽く、可燃性もないため浮力を保つ為に使用されております。

②医療分野
・MRIの冷却剤として使用されます。MRI装置には強力な磁石が必要で、その磁石
 を低温に保つ為に液体ヘリウムが使われております。
・喘息など呼吸に問題がある患者さんのための「ヘリオックス」としても使用されます。
 これは酸素とヘリウムを混合したガスで、空気よりも低い密度である為に呼吸がしやすくなります。

③科学研究、産業分野
・超伝導実験や低温物理学の分野で、超低温環境を作り出すために液体ヘリウムが
 使用されます。半導体や光ファイバーの製造過程でも、ヘリウムの冷却効果や熱伝導性が役立ちます。
・リークチェック:ヘリウムの分子の小ささを利用して配管などのリーク検査に使用します。

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